UNEVEN HUB STORE Event Space North、10/16(土)-11/14(日)にて開催しています。Cube Aの展示アイテムの解説記事です。

こちらの記事は会場に設置されているQRコードよりジャンプできます。イエローのアクリル板が設置されている家具類アイテムの紹介、バックグランドなどを記していきます。記載されている番号と照らし合わせて解説をご覧ください。

末尾にちょっとした今回の空間作りのコンセプト紹介などを記しています。


A-1 Facet Table 170 by Friso Kramer for Ahrend

1950年代以降のオランダインダストリアルデザインにて、重要なデザイナーの一人であるFriso Kramer。彼が当時デザイナーとして就任していたAhrend de Cirkel社より1964年に発表したテーブル。
今でこそ何の変哲もないオフィス用のテーブルに見えますが、そのスタンダードはこのあたりの時代に源流があるとといえるのでは。
四隅に配置されている細い足。これは使用する人間やイスの稼動域を最大限にする為の設計ですが、もしこれをすべて木で作るとなるとここまで最小限で支えることは難しいこと。170cmの天板の重みで真ん中にテーブルトップが落ち込んでいきます。
ですが、このテーブルは半世紀をたってもその兆候は見られません、それは当時Kramerが力を入れていたスチールの成型技術の賜物です。使用する人間、耐久性を考慮して作られた意思がそこに見られるような気がします。

その見た目のシンプルさを生かしてチェアや、ランプなどで遊ぶベースとなりやすい素材。




A-2 FM 80 Chair by P. Mazairac & K. Boonzaaijer for Pastoe

1980年年代にオランダのPatoe社より発売されたチェア。デザイナーはPIERRE MAZAIRAC & KAREL BOONZAAIJER。

スチールのキューブ型のフレームに曲げ木のアーム、ファブリックの座面など素材の使い方・シェイプが特徴的
同年代のポストモダンムーブメントの影響も垣間見れるアイテムですが、Pastoe社ではポストモダンムーブメントの旗手Memphis Milanoなどを意識し理解しつつも、長らく続くPastoe社の家具作りのノウハウを活かした機能的な家具作りを革新的なデザインチームで行っていました。それまでのスカンジナビアンの影響が見られるPastoe社の製品から、現代の同社のラインナップのようなスタイリッシュでよりモダンなラインへと移り変わっていった変遷の時代のアイテムです。

ファブリックはオリジナルの状態で多少ダメージが見られますので、ご希望で張替えもできます。


A-3 Type 2602 Lamp by Roger Tallon for Erco

フランス人でデザイナー、Roger Tallon デザインによるペンダントランプ。Tallonはプジョーやフランスの高速鉄道TGVのデザインなどで知られ、車両のみならず内装やグラフィックなど細部にわたるパッケージングされたトータルデザインをフランスに持ち込んだ人物。そのTallonがドイツの高品質照明メーカーErcoより、1975年に発表したランプシリーズのペンダントランプです。
メッシュのメタルで構成されたボディーに、絶妙な軽さがあり内部に組み込まれた反射板に跳ね返って落ちる光が柔らかい雰囲気を演出しています。
真横から見たときに反射板上部のスリットからもれる光が、照明であることを位置づけながらそのフォルムとメッシュ特有の素材感が浮遊するオブジェクトとして空間に緊張感を持たせるこの照明。
配線などはすべてリペア済みで、引っ掛けシーリング仕様になっています。E26電球が使用できます。




A-4 Filicudara Wall Lamp by Steven Lombardi for Artemide

イタリア人デザイナー、Ernesto Gismondiによって設立された照明メーカーArtemide。ユニークな価値観の組み合わせを掲げる同社はEnzo Mari、Mario Bottaなどイタリア国内外の建築家やデザイナー、またissey Miyakeなども招き入れユニークな照明を世に送り出しています。
このFilicudaraはカルフォルニアに拠点を置く建築家Steven Lombardiによって1985年にデザインされたもの。アルミ+プラスチック+(紙ではないのですが)紙のような樹脂素材の組み合わせが面白く、どこか中世の蜀台をアップデートさせたようなポストモダンライクな見た目も魅力的です。配線などはすべてリペア済みです。直付け仕様にも変更可能です。E26電球が使用できます。




A-5 Abolla Lamp by CP & PR Associati for Artemide

こちらもイタリアArtemideの照明。
天井から吊り下げ、鉄球の重みで床との垂直を生み出してそのレールのようなワイヤーを照明器具が行き来するという照明。一台でインスタレーションのような雰囲気を生み出します。おそらく、ハロゲンランプの細くコンパクトなシェイプを利用することに着想を得た出あろうランプ部から伸びるコード。隠すことが前提とされているようなコードも効果的にデザインされているように思います。こちらは特殊な形状をしている為、ご希望の方はお手数ですが直接NO AGE(コンタクトフォーム)よりお尋ねくださいませ。




A-6 Pyramid Wall Lamp

デンマークにて買い付けた逆ピラミッド型のウォールランプ。特徴的な形ですが、シンプルなお部屋のアクセントや上品でシックなシチュエーションにもマッチするシェイプ。形を組み合わせて80sなテイストにも。配線などはすべてリペア済みです。直付け仕様にも変更可能です。E26電球が使用できます。



A-7 Servomuto Side Table by Achille Castiglioni for Zanotta

Flosなどで多くの照明デザインを手がけるイタリア人デザイナーAchille Castiglioni。その作品はMoMAにも十数点収容されています。そのCastiglioniが1961年にデザインしたサイドテーブル。上部をそのまま掴んで持ち運べるようになっている為、駒のような形をしています。
現行品も販売されていますが、こちらは現在販売されていないヴィンテージ品です。天板はリバーシブルなのでシーンに合わせて色を変えることが出来ます。


A-8 Punching Metal Wall Rack

オランダにて買い付けたヴィンテージのウォールラック。メタルのラックですが四角にパンチングされているために軽やかで、木製の家具などとも相性が良いです。壁にビスやフックを使用して取り付けていただく必要があります。
石膏ボードなどの柔らかい壁にビスなどで固定する場合は、石膏ボード用のアンカーをご使用いただいてからの取り付けをお願い致します。




A-11 Sofa by Friso Kramer / Tjerk Reijenga

オランダにて買い付けたベンチソファー。シートの構造をオランダのインダストリアルデザイナーFriso Kramer が設計士、全体のデザインを同じオランダのメタルメーカーPilastro社にてデザイナーを務めていたTjerk Reijengaが行っているモデルです。その格好や、取り外し可能なファブリックの構造から公共での仕様を想定されていると思われ、フレームの強度がとてもしっかりとしています。ファブリックはオリジナルのままですが、別途ご希望によって張替えも可能です。



A-12,13 Glass Wall Lamp ( Czech )

チェコ製のヴィンテージウォールランプ。乳白色のガラスからは優しい光が漏れ、様々なシーンで活躍してくれそうです。ダークブラウンのベークライト製の台座も雰囲気があり、バウハウスなどの影響が見られます。通常のE26電球ではガラスに干渉する可能性がある為、背の低いE26電球をご使用ください。密閉性が高い為、LED電球をご使用いただき構造上、壁付けのみでのご使用をお願い致します。
また、直付けの仕様にも変更できます。お気軽にご相談ください。



A-14 Half Circle Wall Lamp

デンマークにて買い付けた半月上のウォールランプ。シンプルなメタルの質感と品のある佇まいが、リビングや寝室などにもマッチしやすいシェイプです。ソケット等は日本仕様に交換済み、E17電球をご使用ください。


B-1 Piet Zwart Poster 1974

Piet Zwartはオランダのタイポグラファー/写真家、インダストリアルデザイナーです。
ポスターにも特徴的に現れている、建築家としてのバックグランドからくる抽象的な幾何学図形・写真・建築図面などの組み合わせを得意としNKF(オランダ電線製造会社)の広告やオランダの郵便切手などのデザインを手がけました。

こちらのポスターはスイス・チューリッヒデザイン博物館にて1974年に行われたPiet Zwart展のオリジナルポスターです。上部に小さな破れなどがありますが、全体的にはよいコンディションを保っています。


B-2 Drawing

オランダの画家でもある友人の作品。今回の展示では冷たい印象の質感のものが多かった為、人の手で書かれた絵が欲しかったのでオランダより送ってもらいました。お互いに作用する色味とバランスが、今回の展示のテーマでもある部分と全体を感じるアブストラクトなドローイングだと感じています。



コンセプト紹介 / 末尾にて

今回「部分」と「全体」をコンセプトとし、アイテムのもつシェイプや、カラー、テクスチャー、素材にこだわって空間を組み立ててみました。家具という実用性を兼ね備えた道具では、まず使用することが前提にあると思います。ですが、使用することのみに限定していくとそれは少し味気のないものになってしまうかもしれません。

ですが、道具だからこそ背景に隠れている構造であったり設計者の意匠があったりもします。そういった背景の部分。また、目に見て取れるカラーやテクスチャーの視覚的な部分。そういった部分の連鎖が相乗的に折り重なって、空間をつくって行くものだと思います。
また、ヴィンテージともなるとその歴史や経てきた時間などを、細かな傷跡などの使用された痕跡から見ることもできます。それは、その部分達に奥行きを持たせより立体的に浮かび上がらせる、また一つの要素なのではないでしょうか。

なんだか、回りくどい話になってきましたが、もっとフラットなお話で家具選びの際にはそういった素材感や、テクスチャーなどにも目を向けるともっと面白いのではないかと思いNO AGEというお店をしている側面もあります。

そういったどこからともなく合わさった点と点がつながる瞬間は、とても貴重なインスピレーションを与えてくれます。例えばこのオンライン上に浮いたこのお話を、会場?車の中?自宅?で読んでくださっているこの点と点のつながりも何か次のインスピレーションにつながるかもしれません。

そうやって各々を取り巻く空間が、相乗的に彩りのあるものになっていくのかもしれませんね。

Cube A / NO AGE、ご覧頂きありがとうございました。

NO AGE 2021.10.14 ( 0:15 )

Posted by:noage

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