Gary Hustwit によるDieter Ramsに焦点をあてた 2018年のドキュメンタリー映画、『Rams』がVimeoにて視聴できます。ちなみに音楽はBrian Eno。

現在では神格化されているBraun/Vitsoe のプロダクトデザイナー、ディーター・ラムス。なぜ彼が神格化されたのか、という背景もこの映画では語られています。
そうでないものもありますが、その人の人となりを見て、発する言葉や仕草などからその人物を見るものが、人物に迫ったドキュメンタリーだと思っていますがそういった面でも、この『Rams』は一人の人間としてのラムスを見ることができ、彼(と彼のチーム)の作品たちの深い部分に宿るものを垣間見ることできた様な気がしています。

以下、映画の内容を踏まえNO AGEとして思うこと、個人的に思うこと、そしてウィルスの危機で麻痺している現状(このブログを書いているのは2020年の4月の終わりです)から学ぶことのヒントとして感じたことなどつらつらと書いていきますので、内容に触れることを避けたい方はここまでにして頂いたほうが良いかもしれません。

なので、先にトレーラーと映像のリンクを。



2020年4月現在では539円で視聴することができます。ドイツ語/英語ですがVimeoにてinternational版を再生し、動画内の字幕メニュー(CCの部分) にて日本語字幕がつけられます。 Gary Hustwit の公式サイトはこちら ( https://www.hustwit.com/rams )






ここからは映画を見て印象に残ったこと↓


ラムスの “Lessbut better.” (より少なく、より良く) のデザイン哲学10章は色々な媒体で目にします。彼の機能主義から生まれた作品のイメージは、もちろん華美ではなく、洗練されていますが、悪い表現でいうと殺風景です。
その無駄を一切省くという手法からとても都会的・機械的なイメージを受けることもあると思いますが、彼の作品はどこかに温かみがあります。

これを今まで少し不思議に感じていた部分があるのですが、 彼の育った緑豊かなヴィースバーデンの環境がここに影響を与えているような気がします。
彼の作品は機械的な無機質のシンプルではなく、自然の木々ように主張をしすぎない調和を保った有機的なシンプルさなのかもしれません。

家の中というある種森の様な場所になじみ、道具としての機能を発揮するもの。そう思うと彼の理念がすっと入ってきます。ブライアン・イーノの音楽がなじむのも納得です。

また、彼は都市のランドスケープの調和についても言及していますが、その場所と周辺環境、周辺の建物、地形、マクロな視点で見たときそれらはすべてに作用していると思っているために、個人的にもその場所の特徴を無視した建物はあまり好きではありません。ここ名古屋では、こぞって単一の規格のようなマンションが都心部にどんどん建てられていますが、はたしてあの建造物郡はあと何年あの場所ににたっているのでしょう。

ヴィンテージ家具店としてのNO AGEはラムスの作品・作風・理念が全てです!とは言いませんが、このお店としても大切にしていきたいこと、目指すべきことを再確認させもらったように思います。

冒頭で 「思慮なき消費のための思慮なきデザインの時代は終わった 」とも述べていますが、今この世界の現状でそれが浮き彫りになっているのではないでしょうか。普段の生活が制約される中で、手元にあるものがいかにに消費とつながっているか、それを実感することもしばしば。どんどんアップデートされていく家電はまるでブラックボックスのようで、こじあけて見ても部品が無いから直らない。愛着をもって使っていけるものは、どのくらい残っているのだろうと思う日々です。
シンプルでいること。それは何時からかミニマリストの様なカテゴリーに変わっているけれど、きっとシンプルでいるということはシンボルの様に黒いシャツだけを着続ける(劇中でラムスも着てますが・・・。)ことではなくて、意識としてどれだけ ”Lessbut better.” を選択していけるか。なんじゃないかな。

Less would be better everywhere.

Gary Hustwit , Film First ,Rams,2018, https://vimeo.com/ondemand/ramsfilm/

だって判子押すためだけに会社行きたくないじゃない?







References
Gary Hustwit , Film First ,Rams,2018
https://vimeo.com/ondemand/ramsfilm/

Posted by:noage

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